米価が不安定で、生産者も消費者も振り回される機会が生じております。

稲作にかかわる各種補助金(助成制度)は、「飼料米・加工米・輸出用米作付け助成」や「戦略作物作付け助成」や「水田農業高収益化推進事業」などいろいろあります。こうした助成制度により転作を奨励しています。農業は土壌・地力・気象など環境条件によって、大きく影響を受ける産業であり、工業のような画一的な政策で容易に転換できない事情があり、技術支援も必要です。ほんとうに一般の農家のためになる助成制度でしょうか。

また、少子高齢化が進む中で、米価抑制のために経営規模拡大を推進しました。しかし全国的に見て、今や集落営農も維持できない状況に追い込まれ、個別の農家は手じまいをして次世代に継承できない状況に追い込まれています。また、コメの輸入(ミニマムアクセス米)や種子法の廃止など海外の大手資本に有利な改革をすすめた結果、米価は抑制され、日本の農業・国土を荒廃させることにつながっています。

農業後継者が確保できない中、さらに地球規模での環境変動が起こっており、わが国の食糧安全保障は出来るのでしょうか?大災害などの非常事態を想定して少なくとも主要穀物は自給する制度、美しいこころを和ませてくれる日本の農村環境を保全する持続可能な制度を基盤とすること。食料の自給率を維持することの重要性や農業の多面的機能についての国民的理解を得て、農業者が生産を安心して持続できるよう所得補償性制度の復活、拡充をすることが必要です。

国連では2019年から「家族農業の10年」として定め、「家族農業」が歴史的、文化的、自然遺産の普及と保全、伝統的な習慣や文化、農村地域における生物多様性の喪失を止めることや、生活条件の改善に深い関係があることを認識して、推進することを求めています。こうした政策の推進があらためて日本の家族農業の重要性を認識させるものではないでしょうか。